透析室だより(2)
〜 内部ろ過促進型透析 〜
いまい内科クリニック 透析室
臨床工学士 平川雄一
当院では、これから「内部ろ過促進型透析」いう方法を導入します。
「内部ろ過促進型透析」を説明する前に、先に基本となる血液浄化方法を説明します。
慢性腎不全の、血液浄化方法には、大きく分けて、血液透析(HD)、血液ろ過(HF)、血液透析ろ過(HDF)この3つの簡単な特徴を下記に示します。
血液透析(HD) |
拡散により尿毒素を除去するため、小分子の尿毒素(尿素窒素やクレアチニン等)は多く除去できるが、中、高分子の尿毒素(β2
-ミクログロブリン等)の除去は少なくなります。物質の移動は、濃度差により引き起こされます。 |
血液ろ過(HF) |
ろ過により尿毒素を取り除くため、小分子の除去はHDより少ないですが、中、高分子の除去は多くなります。物質の移動は、圧力差により引き起こされます。 |
血液透析ろ過(HDF) |
拡散とろ過の両方の原理を使い尿毒素を除去する為、小、中、高分子のいずれの除去も多くなります。しかし、保険での適応疾患が限定されています。 |
図1のように、血液浄化方法により色々な特性があるので、患者様の病状により治療方法を選択します。しかし、現状では血液浄化の第一選択としてHDが選ばれる事が一般的です。
当院で実施しようとする「内部ろ過促進型透析」とは、HDを行いながらHDFの効果が得られる透析方法です。これは、HDで使われるダイアライザーの中の設計を改良することにより、ダイアライザーの中で、ろ過を起こさせ、HDFの効果が得られる方法です。
「内部ろ過促進型透析」の原理は、少し難しい話になりますが、図2に示すように、ダイアライザーの中に入っている中空糸(ストローの様な形状)の中で、血液上流側でろ過、下流側で逆ろ過を起こすように設計したダイアライザーを使い、ダイアライザーの中でろ過を促進させることにより中、高分子の尿毒素をより多く除去する事ができる透析方法です。
「内部ろ過促進型透析」を行う条件としては、患者様への透析液供給直前のエンドトキシン値が、1EU/L以下であることが定められています。(エンドトキシン1EU/L以下というのは、点滴や注射で使われる薬剤と同基準です。)
当院での患者様への透析液供給直前のエンドトキシン値は、測定感度以下であるため、「内部ろ過促進型透析」を行う条件を満たしております。
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