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ボタン 禁煙外来と最新の禁煙治療について  ボタン

 平成21年の喫煙率は、男性で38.9%でした。これは、昭和40年以降のピーク時(昭和41年)の 83.7%と比較すると、半分以下ということになります。年代別にみると、急激な減少が見られるのは60歳以上で27.8%、一方高い年代は30歳代で46.9%でした。 しかし、諸外国と比べると、未だ高い状況にあります。 また、これに対し、女性の平均喫煙率は11.9%であり、ピーク時(昭和41年)より漸減しているものの、ほぼ横ばいといった状況です。 若い女性の喫煙率の増加は、青少年の喫煙と同様に、いま世界各地で大きな問題として取り上げられています。

  禁煙による健康に対する害は言うまでもないことですが、これまでにTVなどでよく聞いた従来のニコチンガムやニコチンパッチと言った禁煙補助薬と言われるものとは違った新薬がでており、禁煙成功率も前者よりも高いといわれています。
 そこで、今井先生に、禁煙外来と最新の禁煙治療について伺ってみました。

質問1:  まず、禁煙外来での、禁煙治療とはどのようなものですか?
 「禁煙ほどやさしいものはない。私はもう何度も行った。」とは、文豪サマセット・モームの言葉です。タバコが止め難い理由は大きく分けて二つあると言われています。ひとつはタバコに含まれるニコチンに強い依存性があること。もうひとつは、喫煙するということがその人の生活習慣になっているということです。喫煙する機会を振り返ってみると、毎日驚くほど同じ時間に喫煙していることに気づくはずです。朝起きたとき、食後、コーヒーを飲んだ後、会議の後、などなど。知らず知らずの間に、毎日、驚くほど同じタイミングで喫煙している自分に気付く筈です。喫煙するということが、すっかり自分の生活習慣に組みこまれているわけです。このふたつの要因が重なって、禁煙を非常に困難なものにしています。

 ニコチンへの依存は強いものですが、しかしおよそ2週間を経過すれば、このニコチンへの依存は弱まると言われています。このニコチン依存を克服するために、ニコチン代替療法があります。
喫煙のたびに、ニコチンは血中に吸収されて、脳内のニコチン受容体に結合し、ドーパミンなどの快感を誘発する物質が放出されます。一般に脳内報酬回路と言われていますが、ドーパミンが放出されることにより、脳は喫煙により充足を感じます。一方、吸収されたニコチンは速やかに分解されます。ニコチンの血中濃度が低下すると脳は新たなニコチンを求め、喫煙が繰り返されることになります。ニコチン代替療法では、脳がニコチン不足を感じるレベル以上のニコチンを喫煙に寄らずに持続的に吸収することで、脳のニコチンへの欲求を弱めることを利用します。

 いままで、このニコチン代替療法に利用されていたのは、ニコチンガムやニコチネルパッチというフィルム製剤でした。ニコチンパッチはフィルムにニコチンが塗布されており、これを皮膚に密着させることにより、経皮的にニコチンが吸収されます。しかし貼付剤であることから、皮膚への刺激、かゆみなどが問題になったり、ニコチンを含んでいるために覚醒作用が問題になったりしました。

質問2: ニコチンを含まない新しい禁煙薬とはどんなものでしょう?
 2008年5月から、ニコチンを含まない、そして内服する新しい禁煙薬、バレニクリン(商品名チャンピックス、ファイザー製薬)が市販されました。ニコチン依存症と診断された方には、保険適用となります。この薬は内服することにより前述の脳内ニコチン受容体に部分的に結合することにより、ニコチン離脱症状や、ニコチン欠乏症を軽減することで禁煙を容易にします。

 チャンピックスの服用にあたり、医師の診断によりニコチン依存症と診断された人には、健康保険での処方が認められます。実際の服用にあたって、特徴的であるのは、まず最初に禁煙予定日を決める必要があります。そしてその禁煙開始日に先立って、1週間前より、チャンピックス0.5mg/日を3日間服用。次いで、1mg/ 日を4日間服用と、次第にチャンピックスの服用量を増やし、先の脳内受容体にチャンピックスを結合させておいた状態で、8日目から一日2mgのチャンピックスを服用しながら実際の禁煙を開始します。

 全部で12週間、5回の診察が健康保険適応になります。自己負担額は、3割負担で薬代を込めて、1回3000円程度になります。

 タバコも今後、値上がりが予想されます。これを機会に禁煙にチャレンジして、きれいな空気を吸う喜びを手に入れましょう。
禁煙で失うものは、なにもありません。むしろ禁煙を実現できたことは、あなたに新たな自信を与えてくれることでしょう。禁煙して3日が経つと、体の中に蓄積したニコチンがほぼ完全に消失すると言われています。2週間経つと気道の分泌が改善し、空気が肺の奥のほうにまで届くようになります。3ヶ月経つと持久力が改善し、5年が経つと肺がんでの死亡率が半分になると言われています。
繰り返しますが、禁煙で失うものはなにもありません。今回紹介したような禁煙補助薬を利用して、ぜひ禁煙にチャレンジしてください。

当院は、禁煙を試みる人を応援します!
関連サイト: ファイザー製薬  http://sugu-kinen.jp/


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