高齢者は特に筋骨格系の痛みを訴えることが多い。
その際に、汎用されるのがいわゆる痛み止め(NSAIDS)である。
NSAIDSは、痛みの伝達物質であるプロスタグランジンの働きを抑えることで、鎮痛効果を発揮します。しかしながら、このプロスタグランジンは痛みを伝えるという不快な作用だけではなくて、腎臓や胃の粘膜の血流を保つという生理的に重要な働きを持っています。
したがって長期的に痛み止めを飲み続けると、NSAIDSの副作用として胃腸障害(NSAIDS潰瘍)の危険があります。
この好ましくない副作用を避けるためには、このプロスタグランジンの好ましい作用(COX1による)は抑えずに、痛みを伝えるという不快な作用を選択的に抑えるような薬剤を選ぶことも重要です。それが、NSAIDSの中でも、COX2阻害剤と呼ばれる薬です。
モービックR、オステラックR、ハイペンR、レリフェンRなどの薬剤は、このCOX2選択性が高い薬剤と言われています。 NSAIDSの選択に当たっては、選択的COX2阻害薬は、胃潰瘍の発生頻度が従来のNSAIDSに比較すると低く、予防効果が期待されます。(グレードB、レベル2)
消化性潰瘍発症の危険因子を解析すると、NSAIDS(−)、ピロリ菌感染(−)の潰瘍発生危険率を1とした場合、NSAIDS服用により危険率は、19.4倍に上がり、ピロリ菌の感染を合併すると、その危険率は61.1倍に上がるそうです。
一方、このNSAIDS潰瘍ができないように予防するには、どのような薬の組み合わせが望ましいのでしょうか?
最近の研究によると、ミソプロストール(サイトテックR)と呼ばれる、プロスタグランジン製剤による胃粘膜保護が重要と言われています。
また胃酸分泌の強い抑制が必要で、高用量のH2受容体拮抗薬、プロトンポンプ阻害剤の使用が妥当と考えられています。常用量のH2受容体拮抗薬が有効であるという根拠はありません。(グレードB、レベル2)
平成15年11月11日
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