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ボタンホモシステインと動脈硬化 ボタン

 最近、コレステロールなどと並んで、ホモシステインの動脈硬化性物質としての役割 が注目されている。ホモシステインはメチオニンというアミノ酸の代謝物質で、おも に腎臓で代謝されることから腎不全では高値となる。 腎不全時にはこのホモシステインが高値になり、心臓血管病変の重要な独立した危険 因子であることが報告されている。

日本透析学会誌に、最近二つの論文が掲載されている。

1)血液透析患者における高ホモシステイン血症と葉酸濃度に関する検討。 透析会誌34(3):173-177, 2001.
 この論文では、ホモシステインの値が心血管病変と相関することが示された後、 ビタミンB6、ビタミンB12、および葉酸がホモシステインの代謝に必要であり、これ らビタミンの欠乏が腎不全時の高ホモシステイン血症を一層増悪する可能性があるこ とを示している。そして透析患者のホモシステイン値を心臓血管病変の危険水準以内 に抑えるためには、正常人の葉酸濃度として推奨されている値(2.4-9.8 ng/ml)の 約2.5倍程度に高める必要があるとしている。

一般に、透析患者に必要なビタミン所要量については、たとえば「Handbook of Dialysis 第2版」の訳書を参考にすると、やはり一日1mgの葉酸、20mgのビタミンB6 などを摂取する必要があると記載されている。 一方で、大量のビタミンCやAを摂取することは避けるべきであるとしている。

2)慢性血液透析患者にみられる高ホモシステイン血症の治療法の検討 透析会誌 34(4):243-248,2001
  この論文では、総ホモシステインレベルを低下させるには、葉酸投与が、ビタミン B12やよりも有効であることがしめされている。
そして血中葉酸レベルを、正常の2-4倍に維持できれば、総ホモシステインレベルを 維持できることが記されている。
葉酸(5mg)を週3回の透析日のあとに4週間にわたって服用すると、血中の葉酸レベル は7-8倍に上昇し、総ホモシステインは約57%低下したという。さらに週1回透析後 に5mgの葉酸を服用することで、総ホモシステインの値を低値に維持できたという。

葉酸投与法の必要最小量を検討する意味で、よい論文だと思われた。

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