できごと徒然
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No.0041

できごと徒然(41) −素敵なファイリング ソフト−

   この秋で開院して、まる3年になります。 2年を過ぎたあたりから、決して多い患者数ではありませんが、内科医院ゆえに慢性疾患の管理が必要であることを痛切に感じるようになりました。日々積もる検査結果はじめ、さまざまの患者情報をどのように管理するのかは、皆様頭を痛めておられることだと思います。私が出会ったのが、RS-Baseというファイリングソフトです。

 このソフトは広島の開業医の山下郡司先生という方が作られたソフトです。あちこちで紹介もされていますから、ご存知の方も多いと思いますが、このソフトは本当に良くできたソフトで、これを現役の開業医が開発したということだけでも私には奇跡と思えます。
 要は、WEB型データーベースを利用したファイリングソフトで、患者の血液検査や(検査センター外注分だけでなく院内検査も含んで)、レントゲンやエコーなどの画像情報、紹介状などの文書、心電図などとにかくあらゆる情報をファイルすることができます。
 すでに30数社の検査センターが、このファイリングソフトに対応しているそうですが、オンラインでもデータは受け取れますが、私はファルコバイオシステムズから、1週間分ずつデータをフロッピーでもらっています。フロッピーからの取り込みは、ワンクリックで可能です。

 その他、当院ではデジタルエコーですので、腹部エコー、心臓エコーなどの画像をMO経由でファイリングしています。心臓エコーはAVIなどのファイル形式で動画での保存が可能です。左室壁運動異常、弁膜症、珍しいものでは肺高血圧や細菌性心内膜炎での逆流ドプラー所見なども保存しています。
 胃カメラなどは、最近は南口の谷村先生にお願いすると、デジタル画像をMOで頂けますので、これも簡単にファイリングできます。TMSではCTやMRIも御世話になっていますが、これもファイリング。患者さんが、検査結果とMOを持参して谷村先生の下から帰ってこられますので、これを一緒にPCに保存して、私の医院のPCで表示させますと、あたかも自分で胃カメラをしているかのような臨場感です。患者さんもじっくり自分の胃の画像が眺められて、納得されているようです。
 このような臨床データだけでなく、たとえば教科書の1ページとか、患者さんの説明に適当な資料などもファイリングしておくことができます。これもPCの画面を見ながら患者さんに説明できます。

 私の利用は現在はこのくらいですが、電子聴診器で聴診所見を保存したり、FCRなどレントゲンをデジタル撮影されている先生は直接ネットワーク経由でファイルされている先生もいらっしゃいます。 基本的にはJPEG画像がサイズの点からお奨めですが、簡易のDICOMビュワーもついていますので、DICOMでのファイル表示も可能です。TMSに刺激されて、関西労災病院にも御願いしたところ、画像をCD-Rに焼いてもらえることになりました。DICOMではファイルサイズが大きくなりますが、DICOMならではの表示が可能です。

その他、他院からの紹介状、眼科からの眼底写真などは、スキャナーで読み込んで保存したり、Scansnapと呼ばれるスキャナーを使うと、PDFファイルにして保存してくれます。連続スキャンが可能ですので、論文などもスキャンして保存しておくことができます。 この小文を読んで画像をデジタルで頂ける眼科の先生、耳鼻科の先生がいらっしゃいましたら是非御紹介させていただきたいと思いますので、宜しくお願いいたします。
 また宝塚市民病院からもデジタルで画像情報を頂けたらありがたいのですが、御一考をお願いいたします。

 このように保存したデジタル情報を、患者さんのIDを入力しますと、患者ごとの情報として集めることができます。今までこの人にどんな検査をしたかが、一目で分かります。 血液検査も時系列で表示可能ですし、任意の項目のみを表示したり、グラフ化することも可能です。当院では、サーバにおいたデータを院内無線LANで院内のPCのどれでも表示が可能ですので、患者さんの回診にもベッドサイドで表示することが可能です。
 さらにこれらのデータを使って紹介状を作成することができます。検査値やエコー画像の入った紹介状を作成することも可能です。患者情報として住所などは既入力ですので、IDを入力するだけで患者情報が入ってきますし、また直前に作成した紹介状の内容がプレビューされていますので、それを参考に新しい紹介状を作成することも容易です。こうして作成した紹介状が、また自動的にデータとして保存されますので、検査だけでなく紹介状も患者の情報の一つとして、保存されていきます。

 このような優れたソフトが、実際上ほとんど無料で(実際は5000円の実費です)、入手できることも驚きです。メーリングリストへの参加が必要ですが、このMLを通じて山下先生は頻繁にバージョンアップを繰り返しておられます。私たちはバージョンアップごとに、これをダウンロードしています。
 このMLの参加者はすでに700名ほどだそうですが、このRs-Baseの話題だけでなく、 医療情報、コンピューターはじめデジタル機器などの話題も多く、とても参考になります。
 ある種の感動と、思い入れを交えて、私の出合った素晴らしい電子ファイリングソフトを紹介させていただきました。2003年はじめにこのソフトに出会って、少しづつファイルしてきました。今では当初の期待以上に貴重なデータベースになっています。
 このファイリングソフトのRs-Baseは、同じく広島の開業医である吉原正彦先生が作られた、現在電子カルテのシェア第2位のダイナミクスと連動します。開院3年目の区切りにダイナミクスに移行するかどうか現在思案中ですが、ダイナミクスもまけず劣らず好評のソフトで、やはりMLでは活発な意見が交わされています。

 バカ高いメーカー製レセコンではなく、このような臨床現場から医師の開発によるソフトが誕生してくるのは、本当にうれしいことです。厚生労働省や経済産業省なども山下先生のクリニックを訪問されているそうですが、ORCAとも連動して欲しいものです。

 今年の11月には、このRS-Baseのカリスマ伝道師の、中西重清先生が動画のファイリングについて、宝塚ホテルで講演されるとお聞きしています。御興味のあられる先生は、宝塚ホテルにお出ましください。 このソフトに興味のおありの方は、下記を参考にしてください。
http://izumi.cside8.com/RSB_manual/Dr_Wada/index.html
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〒665-0021 宝塚市中州2丁目1-28 TEL 0797-76-5177