できごと徒然
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No.0040

できごと徒然(40) −心と遺伝子研究会−

   できごと徒然(21)にも記載いたしましたが、「心と遺伝子研究会」も順調に成果を 上げているようです。以下頂いたメールの転載許可を頂きましたので、HPに載せて おきます。

「心と遺伝子」研究会の御紹介(文責 今井)

 こころのあり方、持ち方が、その人のライフスタイルのみならず、たとえば病気とのかかわり方においても、その予後に大きな影響を与えるであろうことは多くの人が昔から感じていたことですね。
 私が昔、大学院の学生であった頃、薫陶を頂いた前筑波大学教授で遺伝子実験センター所長の村上和雄先生が、この問題へ真正面からの取り組みを始めておられます。研究チームの林先生から、最近の成果を知らせるメールが届きましたので、ここにご紹介しておきます。

文中にでてくる、something greatというのは、村上先生の造語で、なにか人智を越えたもの、神様か摂理か、そのようなものをイメージされているのだと思います。

村上先生は、遺伝子工学の権威であり、また宗教家でもあります。


以下、研究会の林先生からのメール)

 村上先生が研究代表を務める「心と遺伝子」研究会も発足10ヶ月を経過し、会員も順調に増え一部で成果も出てきつつあります。ただ、この分野の研究はなかなか受け入れてもらえず、研究費集め苦労しております。

昨年お会いして以来、私共も本研究会の主旨に沿って何ができるか暗中模索の状態で したが、いろいろな経緯があり(それこそSomething Greatな面もありましたが)、笑いと遺伝子発現の実験に着手しました。吉本興業(株)と組んで、既に2回のイベントを行い、まずは健常人での遺伝子変化と糖尿病患者の血糖値変化を見てみました。
健常人での検討では、まだ専門誌に発表するほどのデータは集まっておりませんが(傾 向としては、免疫系を活性化する遺伝子発現の裏付けデータがとれましたが)、糖尿病患者では食後2時間血糖値の上昇を「笑い」がきれいに抑制することが分かりまして、米国糖尿病学会の専門誌DiabetesCare誌にLetter投稿したところ即日受理され本年5月号に掲載されました。

今後、7月、9月に新宿のルミネtheよしもとで大規模な データ集積のための公開実験を行う予定でいます。 さて、別メールでもご案内の通り、来る8月20日に「心と遺伝子」研究会の第2回研究集会をつくばで開催いたしますが、もしお時間のご都合つきましたらと思いご案内申 し上げます。

(続いて)

今日は比較的ゆとりがあるので、先のメールの続きを認めます。
今回の「笑いと血糖値」の実験では、村上先生の言うところのSomethingGreatを語らない訳にはいきません。 なぜならば、この実験の最初の計画から結果に至るまで、殆ど偶然の連続で、終わってしまえば「それは必然だった」とする 村上先生の言葉にはタダタダ感服するのみだからです。

まず、この実験の計画段階ですが、私共夫婦で一緒に学会に出席することはめったに ない(恐らく初めてです)ことですが、 たまたまその日は一緒に学会にいっていました。そこで村上先生と食事をすることになり、そのときの会話で、天理よろづ相談所病院の糖尿病の権威の先生に別件で会いに行こうということになりました。普段忙しい先生でなかなかアポがとれないのですが、たまたま1週間後に東京に出てくる用事があり会うことができました。

そして、他愛もない会話のなかで、職場や家庭のストレスが糖尿病患者の血糖値を上げることが話題になっていました。そして、村上先生が一言!ならば、陽性のストレスは血糖 値を下げるのか試してみようということになり、患者さんを笑わしてその前後で血糖値を測定する計画が急浮上してきました。しかし、この考えを糖尿病を専門とするい ろいろな先生方に聞いてもらいましたが、「そんなわけないだろう」「臨床家がこんな実験をしたら気が振れたとしかみられない」と冷ややかな反応でした。
そこで、簡単にビデオでも患者さんに見せて前後の血糖値でも測ってみようと安易に考えるよう になり村上先生もこれを了承していました。

丁度そのころ、村上先生の書いた本が吉本興業の社長の目にとまり、村上先生と社長が面談することになり、血糖値実験の 「笑い」は吉本興業が提供することになりました。しかし、患者さんを集めるのが大変で東京まで出向いていただくわけにもいかず、つくばでイベントを企画することになりました。関係者(医療関係者、患者さん、吉本)の日程を調整すると1月12日しか実行可能な日はなく、つくば市内の公民館やホールを全てあたりましたが、運悪くその日は成人式が至るところで計画されていて、会場がとれません。しかし、普段は 予約するのが困難なノバホール(つくばで一番良いホールで1000人の観客が収容 可能)が、他が成人式のためたまたま空いていたのです。

そこで、一般客を含め10 00人集めようということになり、それはもう大変な準備作業でした。村上先生も必死で事前のマスコミ会見までして集客活動を行ったのはいいのですが、逆にマスコミが騒ぎ立て患者さんのプライバシを守るのに必死の毎日でした。しかしここまで来ると、いろいろな人が協力してくれて、「笑い」の場の雰囲気の設定は完璧になり、当 日のイベントは大成功でした。

実験は2日間に渡り行い、1日目と2日目は同じ食事 (すし)をとってもらい極力同じ生活を患者さんにしてもらいました。唯一の違いは1日目は「笑い」の代わりに同じ時間帯に単調な講義をきいてもらったことです。しかし、糖尿病の患者さんは末梢の循環不全がありSMBGでなかなか血糖値が測定できないのですね。予想もしておりませんでした。当初の予定では経時的に多点データを取得する計画でしたが、ことごとく失敗です。

ところが不思議なことに食事直前のFBGと食後2時間後のPPBGだけは全員データがとれていたのです。「笑い」はこ の2時間の間に40分だけ1000人の観衆とともに鑑賞してもらっています。振り返りますと正にSomethingGreatの連続でした。

本当に偶然の連続でしたが、これを必然とする先生の解釈には脱帽です。それでは、この辺で失礼しますがSomethingGreat的出来事がありましたら、またお知 らせ致します。
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