大原野神社の門
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今年の春も桜はもう今日の日曜日が最後と思われる。
久しぶりに京都を散策することにした。
花の散歩道という雑誌をみていると、花の寺として、大原野神社、勝持寺、正法寺など京都、西山のお寺が紹介されていた。
今日は、いままであまり行ったことのない、昔は皇室の狩猟場があったという京都西山、大原野を尋ねることにした。
阪急西向日から、大原野神社まで歩こうかと思ったが、すこし歩き出して、いささか無謀なことに気づき、途方にくれていたら、幸いタクシーが止まってくれた。
これで一気に大原野神社へ。
鳥居を囲むように、桜の木や椿が咲いている。
参道を歩いていくとそのまま境内に入る。入場料も要らない。いまどき珍しい。境内には、千眼桜という大きな桜の木が一本植わっていた。
境内の茶店には、和服の女性がふたり琴を爪弾いていた。 たおやかな琴の音を聴きながら、昼食におそばを頂いた。風情である。
それから勝持寺へ。
道中、この花の寺をスケッチする人がたくさんおられた。
みなこうして休日を楽しんでいる。
山門はすこし古びた門で、それにつづく急な参道は手付かずで、うっそうとした雰囲気である。ところどころに桜や、椿のの木立が、アーケードになっている。
ずいぶんと歩いていくと、本堂が現れる。
土塀に囲まれた勝持寺は、しかし瀟洒なお寺だった。
あの西行が出家した寺として知られる。
西行桜をはじめとして桜の木がたくさん植えられていて、寺の境内は、はなやんだ雰囲気である。
千眼桜
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西行桜
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さくら
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お寺と花はよく似合う。
京都のお寺が、それぞれ競うように自院をお花で飾るのもなにか必然な気がする。
花には自然と人を癒す力がある。寺の使命と、お花の自然には、「癒し」という共通語があるのかもしれない。
あまた多くの花の中でも、やはり桜は、その色彩のゆかしさと、枝ぶり全体に一気に咲き誇る優雅さと、見事さ、はれやかさ、散り急ぐはかなさ、など日本人の美意識を集めた花のように思える。
西行しかり、本居宣長しかり。
ついで、正法寺へ。
ここも瀟洒な素敵なお寺であった。
よく手入れの行き届いた庭には、枝振りの見事な大きな桜の木が一本。
見渡す京都市街を借景に、上品な雰囲気であった。
寺坊の和室からは、お庭と池が眺められ、優雅な午後のひと時を過ごすことができた。
正法寺
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正法寺お庭
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遊龍
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ついで、春風に舞うしだれ桜の下をくぐって、善峰寺へ向かうことにした。
というか、向かうことをタクシーの運転手さんに勧められた。
善峰寺、皇室の門跡寺院である。 あまりにも広大なその敷地。
あまりにも有名な全長50メートル日本一の、「遊龍」の松。
なんと天然記念物だそうだ。平成6年に松くい虫の害で、15メートルほど切り落としたとのこと。
京都市街を見下ろすような高台に、よくこれだけの寺院をつくったものだ。
そしてここにも咲き誇るような見事な桜。
薫風に舞う桜を堪能できた春の京都の一日だった。
平成15年4月13日 記
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