このことからも、豊かでかつ厳しい自然を大切にしながら共存する姿勢、人が互いに共生する姿勢が伺えるような気がします。デンマークの洗練された生活デザインは、厳しい冬の環境をいかに快適に生活するかを模索した結果なのかもしれませんが、すべてにおいて常に人が中心にあるように思えました。
ところでコペンハーゲンでは、日曜日はほぼすべてのお店が休みになります。これも驚きました。世界初の歩行者天国といわれるストロイエと呼ばれる目抜き通りでもお店は閉まっています。日本ではかきいれ時の日曜日を休むなんて考えられないことですが、彼らは商業主義に過度に浸ることなく、自らのライフステイルを守っていると感じました。
また古い建物も壊すことなく可能な限り再利用していることにも感心しました。散策した近くに大きな病院がありました。広大な緑の芝生に囲まれた病院ですが、建物は周囲の緑とうまく溶け込んでいます。建物はすべて古いレンガ作りの建物ですが、患者の移動は地下の通路で繋がっているということです。外観は完璧なまでに守られています。
この病院の近くに素敵な教会がありました。Grundtvigs kirke、kirkeは教会という意味です。教会のデザインも斬新です。さすがデンマークという感じです。この教会の隣に丸いドームの古い建築物がありましたが、なんと昔の火葬場だそうです。それが現在はダンスホールとして利用されているということ!火葬場をダンスホ>ールに再利用するなんて、信じられないくらい自由な発想です。しゃれこうべがダンスを楽しむのでしょうか?なんかおとぎ話のような現実の話に、びっくり仰天です。
ちょうどヨーロッパは夏のバカンスの季節なのでしょう、あちこちで短い夏の太陽の日射しを満喫しようと日光浴にいそしむ人々の姿が見られました。日光浴をしながら、ゆっくりと食事を楽しむ姿は、なにか人間本来の姿を見せてもらったような気がします。日光が当たると急に温度があがります、一方で陰ると夏でも肌寒く感じます。緯度のせいかオゾン層のせいか、日射しが照るとオーブンにあたったように焼けた感じがします。
コペンハーゲンを歩いていると、音が少ないことに気づきます。都会のあの喧噪、商店街を流れる大きな音がありません。音といえば、おしゃべりを楽しむ人の声が耳に残るくらいです。これも心地よく感じました。また、空気もきれいです。自転車大国であり、自転車専用道路が整備されていることもあり、車の数が少ないことも大気を汚染から守っているのでしょう。自転車は音もなく高速で通り過ぎて行きます。
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