今年も、桜が満開の季節を迎えた。
淡いピンク色で染めたかのように、時に白く、薄墨のように煙り、あでやかで儚げで、日本人にとって、桜はやはり特別の花である。
例年どうりに、桜は咲くのであるが、その桜を愛でる私たちの気分は、例年になく重い。
3月11日に発生した東日本大震災。
1ヶ月を経た今も、テレビは惨憺たる現状を報告し続ける。
一瞬にして全てを飲み込み破壊した津波の被害、追い討ちをかける原子力発電所からの放射能被害は、今、東日本を中心に、日本に深刻な影を落としている。
未曾有の被害をもたらしたものも自然であれば、被害にあっても季節を忘れず花を咲かせるのも自然である。
この桜を見上げる東北の人たちの心情いかばかりかと、想い計りながら、涙を拭いて新しい出発の節目となって欲しいと願います。