できごと徒然
HOME
クリニックのご案内
診察日記
知識の整理箱
患者は今・・・
LINK

No.0078

できごと徒然(78) −應典院から、仏教に浸る −

 

平成21年7月25日(土)、大阪天王寺の、應典院で講演させて頂きました。
應典院は、このホームページでも何度も紹介させて頂きましたが、日本一、若者の集まるお寺と称されています。
http://www.outenin.com/

住職の、秋田光彦師とは、もう3年越しのご厚誼を頂くことになりましたが、折に触れ、語り合い、メールを交換し、いろいろと刺激を得ております。

今回は、この應典院が、毎年夏に企画されている、エンデイングセミナーとして、「みとりびとが語る」というテーマで、講師に呼んで頂きました。
http://mitoribito.blogspot.com/

みとりびと、と呼ばれると、やや抵抗がありますが。
医師として、その人の人生に寄り添い、看取りまでもお付き合いするというのは、医師冥利と言えます。
と考え、講演をお引き受けることにしました。

今年の4月に、泉大津市の友人に招いていただいて以来、講演会が続きましたが、今回でひとつの区切りと言えましょうか。

人生の最期を自宅で迎える。というのは、なかなか良いものだと、思うのですが。
なかなか、それも難しい時代になりました。

私の経験から、自宅で最期を迎えた人の話をさせて頂きました。
今後、団塊の世代が高齢化し、多死の時代を迎えるにあたり、一人一人が、自分の死を意識しながら、人生を俯瞰することも必要になることでしょう。
應典院はさまざまな企画を通して、このような人生の問題を考えさせてくれます。
講演の後は、秋田光彦師と対談しました。

会場からの意見も交えて、独居高齢者は自宅で最期まで暮らすことは可能か?
最期まで地域で暮らす仕組みづくり。
次いで、話題は、改正臓器移植法案から、脳死問題にまで及びました。
対談の中で、秋田師は一篇の詩を御紹介になりましたが、なかなか心に響く詩でありました。
山尾三省という方の、詩集「祈り」の中から、足の裏踏みという詩です。

///////////////////////////////////////
足の裏踏み

閑ちゃんは 二年だから
父さんの 足の裏踏み 五十回
一、二、三、四、、、五十回 有難う

すみれちゃんは 四年だから
父さんの 足の裏踏み 七十回
一、二、三、四、、、七十回 有難う

海彦は 六年だから
父さんの 足の裏踏み 百回
一、二、三、四、、、百回 有難う

病気になって父さんは このごろ思うのだが
結局人生は この有難うということを
心から言うためにこそ あったのだ
有難う
ありがとう 子供たち

              詩集「祈り」  山尾三省 


////////////////////////////////////////

講演を終えた私は、翌日は奈良に出かけました。
奈良国立博物館で開催されている特別展。
「聖地寧波〜日本仏教1300年の源流〜すべてはここからやってきた。」を見学に行きました。
http://www.narahaku.go.jp/exhibition/2009toku/ningbo/ningbo_index.html

寧波という中国の港町に、昔の日本人は仏教の経典を求めて出かけました。
荒波を越えて、さまざまの困難を越えて、それでも求めようとしたのは、なぜだったのか?なにを求めに行ったのか?

仏教を治めることで、国を護ろうとしたのか。
そこには、なにか崇高な使命感があったように思われます。
コピー機もない時代に、一心に仏典を写経したのでしょうね。
それが国家の安寧と、民の平穏に繋がると信じて。

鑑真もこの寧波から、日本に渡ってきたそうです。
多くの銘品が展示されていました。

国宝の、清涼寺・釈迦如来立像も、木目を生かした、柔らかい造形が 印象的でした。
そしてなかでも印象的であったのは、大徳寺が保有する五百羅漢図、全100幅のうち、82幅が一堂に展示されていたのも圧巻でした。
一幅に5人ずつの羅漢が描かれていて、100幅全部で500人の羅漢の姿はなかなか壮観でありました。

あらためて、仏教が与えた影響の大きさが伺い知れて、なかなか見応えのある展示でありました。

博物館のショップで、「仏教 発見!」という文庫本を買いました。
著者は、西山厚さんという、この奈良国立博物館の学芸部長をされています。
宗教者ではなく、博物館の研究者という立場で仏教を解説する本です。
多くの高僧の紹介はじめ、日本の仏教の歩みが解説されていました。

なかには最澄と空海の交わされた手紙の日付から、二人の交流にも踏み込んだ解釈が加えてあったり、歴史の検証といった側面もあり、楽しく読むことができました。

今回の、奈良国立博物館での、聖地寧波〜日本仏教1300年の源流〜
日本と中国の間の、仏教のうねりのような交流。
そして、この西山さんの「仏教 発見!」という健康的な著書。

いずれも、仏教という、大きな思想のつながりを感じることができて、大きな気持ちになりました。
應典院に始まり、仏教に浸かった、2009年夏の2日間でした。

[ BACK ]
 


お問い合わせ いまい内科クリニック
〒665-0021 宝塚市中州2丁目1-28 TEL 0797-76-5177