平成19年7月、今年の夏の大きな出来事として、電子カルテの導入が挙げられます。
すでに、当院では今までも開院依頼7年を越えて、何度か電子化の試みをしてきました。まず最初は、平成15年からはじめた、患者情報のファイリングです。
http://www.kunpfukai.com/imai_naika/patient/index9.html#top41
RS-Baseと呼ばれる、ファイリングソフトに出会い、少しづつ患者情報を蓄積してきました。これで血液検査結果、心電図、超音波検査、紹介状などのさまざまな情報をデジタル化して保存できるようになりました。
ついで、平成16年3月には、Konica-Minolta社のCR(Computed-radiography)を購入し、レントゲン写真をデジタル化しました。これで、当院で扱う患者情報のほとんどをデジタル化して、保存することができるようになりました。
ついで、平成17年12月には、医療機関にとって大切な診療行為を保険請求するレセプトコンピューターを、このRS-Baseに接続できるものを前提に探して、結局ORCAを選択しました。
そして、今回、カルテ(所見の入力)の部分を電子化するために、ORCAに接続できる電子カルテを探しました。いくつか検討して、最終的には、東京のシステムロード社のRACCOという製品を選びました。
写真の手前正面にあるのが、RACCOのタッチパネルです。
左奥にあるのが、Konica-Minolta製のレントゲンモニター、正面奥の2面ならぶのが、RS-Base用のモニターです。
実際の診療の流れは、受付でORCAに入力した患者情報が、電子カルテであるRACCOと、ファイリングソフトであるRS-Baseに渡され、診察室のデイスプレイに表示されます。
当然、紙カルテを持ち運ぶことはなくなりました。
RACCOの特徴は、タッチパネル方式で入力が比較的速いことが挙げられます。
またメンテナンスも、VPNで結んでリモートで画面を見ながらナビゲーションしてもらえます。
さらにRACCOを選んだ理由は、保険請求のレセプトコンピューター部分をORCAが担うわけですから、すでにORCAを導入していた状態であれば、事務の作業内容に変更なく電子カルテを導入することができます。
実際に、導入にあたって最も大変であったのは電子カルテを操作する当人の私であって、事務方は特に大きな混乱無く、スムーズに電子カルテが導入できました。
電子カルテの導入を通じて、紙1枚減らすことは、本当に大変なことだと痛感しましたが、もはや紙カルテを引き出したり、探したり、棚に戻したり、検査結果の伝票をカルテに貼ったりというような作業はなくなりました。
この点では、もう紙カルテには戻れないなと感じています。
ただ電子カルテを使い出して思うことは、人間ならば実際の診療にあたって、瞬時に複数の業務を同時にこなしているのだということにあらためて気づきました。
患者さんの話を聞く(問診)、血圧を計ることに始まる(診察)、治療方針を選択する(計画)、薬の処方(処方)、患者さんへの指導(指導)などの業務です。
今回、購入した電子カルテでは、それぞれの業務が別のページになっていますので、問診→診察→計画→処方、とステップを踏んでいかなければなりません。
タグブラウザか、マルチウインドウ機能で、複数ページが一度に開けるようになればいいのにと思いますが、多くのウインドウが開いたまま保存するのを忘れると、書き込んだ情報が失われる危険を考えると、ステップごとに保存する方が安全なのかも知れません。
一方、RS-Baseというファイリングソフトが別に動作していることで、今までの患者情報、履歴を参考にしながら、カルテを記入することができます。
さらにRACCOとRS-Baseが連動していればもっと便利だと思う一方で、それぞれ独立して動作しているのも、一度に複数の仕事ができてそれなりに便利と感じる面もあります。
患者情報を表示するために、カルテをそのたびに閉じなければならないようでは結構大変だろうなと感じます。
その意味では今までのRS-Baseに蓄積してきた患者情報が有効に活用できており、電子カルテを導入して、さらにその有用性を感じます。
4年前に、RS-Baseを導入しておいて本当に良かったと思っています。
電子カルテを使ってみて、まだまだ使いこなせてはいませんが、もう紙には戻れないなということと、これからの医療の現場はやはり電子化が必須であろうなと感じます。
もっと使い込んで、カスタマイズを充実させていきたいと思いますが、平成19年夏、カルテの電子化を始めたことを、できごと徒然に残します。
平成19年7月22日、電子カルテ導入