平成17年4月15日、今日は、とても貴重な心暖まる出会いがありました。
最近、当院に通院を始められた高齢のご婦人がおられます。
今日はその方が受診されました。
診察を終え、診察室からでらる際に、ご婦人が、「先生、お忙しいところ手をとめて申し訳ないですけど、一枚写真をご覧下さい。」
といって、セピア色の写真を一枚見せて下さいました。
昔懐かしい色褪せたセピア色の写真には、晴れ着を着た女の子や、制服を着た男の子が総勢20名あまり写っています。
お伺いすると、今から70年ほど前の写真で、当時お習字教室に通われていた生徒たちの、お正月の書初めに集まった際の記念写真だそうです。
当時は、こんな習慣というか、雰囲気だったのですね。
このような良き習慣も、いつのまにか、失われてしまいましたね。
なんと、このセピア色の写真の最前列に写っているのが、私の父だそうです。その隣は、父の兄だそうです。
父の写真といえば、仏壇の遺影くらいしか見る機会のないものにとって、まさか子供のときの父の写真を見るなんて、驚きました。
父も、まさか70年経って自分の子供の時の写真が息子の目にふれるとは、思いもかけないことだったでしょう。
今頃、向こうの世界で、苦笑いしているかもしれません。
こんな写真をもって、当院を訪れてくれた、老婦人に思わず手を合わせてしまいました。
記録というものは、映像というものは残るものなんですね。
まさしく、タイムカプセルのように、父の思い出が一瞬鮮やかに蘇りました。
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