できごと徒然
HOME
クリニックのご案内
診察日記
知識の整理箱
患者は今・・・
LINK

No.0048

できごと徒然(48) −第13回のリサナメント宝塚は倉敷へ−

 


 地域にあって、互いのほどよい心の距離を模索する 「リサナメント宝塚」も4年目、13回を数えるまでになりました。
今回の第13回目のリサナメントは、陶芸がご趣味の阿部様の御紹介で、同じく陶芸がご趣味で倉敷の大原美術館にもゆかりの深い、 中山在住の翁様がお世話下さいました。

翁様のお計らいで、倉敷大原美術館を学芸員様がご案内いただくという趣向で、この6月27日の日曜日総勢16名で倉敷向かって出発しました。ご同行いただけるのは、やはり宝塚市でボランテイアで送迎サービスの「チャレンジャー」というグループを運営なさる菅様のご援助で、ミニバス一台をチャーターすることが出来ました。

梅雨の合間の6月27日、総勢16名が集まり、一路倉敷を目指します。
地域の小さな集まりが、こうしてバスを用意して、倉敷まで足を延ばすことになろうとは、しかも参加の面々が少しずつ力をくべるかたちで実現するなんてなんともほどよい心の距離を感じて、心地よい気分です。

高速道路を飛ばしながら、一路、約3時間で倉敷に到着しました。
早速倉敷国際ホテルで昼食です。

倉敷国際ホテルもやはり大原孫三郎の意向で建築されたホテルだそうですが室内はふんだんに木材が使われており、落ち着いた雰囲気です。
ロビーには、あの棟方志功のおおきな版画が掲げられており、なにやら文化の香りを感じます。

当時、多忙な志功に孫三郎は、ホテルのロビーに掲げる作品を依頼したのだそうですが、あくまでも版画でなければならぬと主張し、版画はホテル落成の二日前に設置されたそうです。
大原孫三郎のこだわりを感じますが、おかげで、他のどこのホテルにもない倉敷国際ホテル独特の落ち着きが感じられます。

昼食も和気藹々のうちに終わり、午後1時から学芸員の柳沢様の御紹介で大原美術館の散策が始まりました。
最初は、入り口の児島虎次郎の作品からの解説です。
明治の時代にあって、ヨーロッパの絵画を日本に紹介したいと言う情熱をもった児島と、それを理解した大原孫三郎。双方の理解と信頼の上に、ヨーロッパの名画が日本に持ち込まれます。

あまりにも有名なエルグレコ、さらにフランスのシュカンプ(というお名前だったと思いますが、最近人の名前が覚えられなくて、、、)棟方志功が後に自分の作品をシュカンプには及ばないと評したそうですが、日本ではあまり有名ではない 方ですが、フランスでは当代最高の作家と評され、教会建築などの大作を依頼され ることが多く、彼の絵画自体が大変貴重なものだそうです。など、一枚一枚の作品にこめられたお話をご披露いただきました。

大原孫三郎は、倉敷紡績(クラボウ)をはじめ、その紡績で得た富を地域に還元します。
倉敷中央病院や、大原労働問題研究所など 当時に会って、先進的な画期的な施設が創立されます。
もし、大原という人がいなかったら、倉敷という町も大きく変わったことでしょう。

児島虎次郎に始まり、モネやルノアールなど代表的な絵画に焦点をあてて、解説が進みます。
一枚の画にこめられた画家の人生。このような機会でもなければ、一枚の画の前でたたずんでゆっくり解説を聞く機会などそうそうもてるものではありません。

リサナメントという、この地域の地縁をむすぶ穏やかな会のおかげです。
大原美術館は西洋画で有名ですが、それ以外にも棟方志功や、河井寛次郎などの陶芸家や芹沢圭介などの染め織りの作家の作品の収集でも有名です。

私も、独身最後の時代を倉敷で過ごしましたが、おのずと大原孫三郎の生涯に触れ、また民芸運動の創始者の柳宗悦などの思想にも触れ、忘れがたい土地です。

余談にそれますが、民芸運動というものは、日常の用途に用いる工芸作品に美を見出すという思想であり、運動であろうかと思いますが、これを医療の世界に当てはめると、「家庭医、かかり付け医」といった、日常の医療を大切にして実践する志向と重なるものを感じます。

毎日の診療が、医療の民芸運動につながるようにと想いをこめようと、今日の大原美術館であらためて自戒する次第です。

帰りのバスの中では、上阪和尚様のこれからのリサナメントの方向性といったお話も頂きました。
上阪和尚様のお話はいつも難解ではなくて、なにかを気づかせて頂けてありがたい機会です。 いまや自分の人生にとっても、この会とこの会で出会った人々は、いつのまにか重要な位置を占めているように思います。

[ BACK ]
 


お問い合わせ いまい内科クリニック
〒665-0021 宝塚市中州2丁目1-28 TEL 0797-76-5177