いまい内科クリニック
 

診療日記

 

HOME
クリニックのご案内
診療日記
知識の整理箱
できごと徒然
LINK

ボタン 在宅の風景(4) ボタン

病診連携

当院では大阪大学や関西労災病院から、研修医がときどきやってきます。
関西労災病院からは地域研修として、わずかに1週間たらずと短い期間ですが来られます。

先日の経験をお話したいと思います。
最近は宝塚市立病院と患者さんを中心にした連携が、随分スムーズになってきたように思います。ありがたいことだと感謝しています。

今回の経験は進行性の食道がんの方で手術療法が不可能で、ステントを留置して頂いて、IVHポートを介して、栄養管理をしていました。小康状態の間に在宅へ帰る期間の栄養管理を依頼されました。
当院で1週間分の高カロリー輸液をはじめ、輸液ライン、ガーゼ、その他の医薬品などを準備して、およそ1週間に一度ごと看護師と訪問診療を行っていました。

自宅での生活に寛がれた様子でしたが、まもなく肝臓への転移が明らかになり、黄疸が現れるようになりました。みるみる全身状態が悪化していきました。
本人も奥様もせっかく帰ってきた自宅だから、できるだけ自宅に居たいという御希望でした。では一緒に自宅でがんばりましょう、と話していた矢先でしたが、
喀血が見られるようになり、奥様からもやはり自宅では無理なので入院させて頂きたいとの申し出がありました。

在宅では、このように当初は自宅で頑張りますと言われていても、夜になって奥様一人で病人の息遣いを身近に聴くと不安が高じてくるのでしょうか、やはり入院させたいとおっしゃる方も多いです。
最近の核家族化のなかでは、なかなか最期まで自宅でというのは困難なことも多いです。私はそれでいいのではないかと思っています。

今回も夜も11時頃になっていたかも知れませんが、早速市立病院に電話したところ、(市立病院では事務から看護師に転送され、看護師が対応されることが多いですが、)この日は私が直接電話したから対応も迅速であったのかも知れませんが、幸い受け持ちの先生も遅くまで残っておられたようで、迅速に入院の手配をして下さいました。
それから、わずかに4日後でしたが、私の携帯に患者様の訃報の連絡を主治医の先生から頂きました。病院の先生から直接わざわざ電話で連絡頂けるのはありがたいことです。

それからさらに数日後、奥様から電話があり、輸液の物品などを返却したいので、取りに来てくれないかという連絡があり、御自宅へ伺いました。
丁度研修医が来ていたときでしたので、看護師と3人で出かけました。

奥様から入院後の様子を伺ったり、奥様としては精一杯看病したので悔いはない、など思い出話を聞かせてもらいました。最後に御焼香をさせて頂きましたが、奥様から研修医に、直接診療をして頂いたわけではありませんが、なにかの御縁で来て頂いたのですから、どうぞ御焼香してやって下さいと声をかけて頂き、研修医も御焼香をさせて頂きました。
病院での治療が終わった後に、患者の自宅ではこのような弔いがあることを経験させて頂いたわけで、これも研修医にとっては貴重な経験になったのではないかと思います。

これから研修を重ね、基幹病院の中核となって活躍されるであろう研修医の先生に、在宅医療の片鱗を見聞して頂き、開業医の仕事や病院を受診するまでの患者の生活などを知っていただければ、これからの病診連携がますます円滑になるだろうなと願って、ほそぼそながらも研修医の受け入れを続けていきたいと思っています。

後日には、市立病院の先生から詳細な入院経過も頂き、感謝しております。
これからも自宅におれる限りはできるだけ自宅で過ごし、いよいよの最期の期間は病院にお願いする。そんなカタチの在宅医療が増えていくような気がします。
市立病院はじめ病院の先生方にはお世話になりますが、今後ともよろしくお願いいたします。

| BACK |



お問い合わせ いまい内科クリニック
〒665-0021 宝塚市中州2丁目1-28 TEL 0797-76-5177