3年以上にわたって訪問診療を続けている患者様がおられます。
患者様は頚髄損傷の方で、訪問看護介護サービスを受けながら自宅での療養の生活を続けておられます。
介護保険の要介護認定は5ということで、最重症です。
この方は一人で療養の生活を続けておられますが、この方の毎日の療養の生活を支えているヘルパーの数はのべ20名以上になります。
文字通り、食事の支度、介助から生活を支えるヘルパーたち。
残された機能を保とうと訓練を指導する理学療法士や、作業療法士。入浴介助の訪問入浴サービスなど。
多種の在宅サービスが関わりますので、互いの連携をとろうということで、先日ケアマネージャーの呼びかけでサービス担当者会議がもたれました。
その席上で、最近患者様からめまいの訴えがあるとのことで、これがリハビリの指導に支障をきたしているとの報告があがりました。
私はさっそく友人の耳鼻科医にお願いして、往診に同行してもらいました。
その耳鼻科医の往診時には、打ち合わせとおり、担当の訪問看護婦や、ケアマネージャーも訪れていました。
二人の医師と、看護婦、ケアマネージャーと、4名の人間が集まりました。
耳鼻科の先生の丁寧な診察が始まりました。
問診に引き続いて、診療器具をつかって診察が進みます。
この光景を見たとき、ふと私はこの瞬間、私たちが総合病院のある入院病室にいるような気になりました。
それぞれの所属組織は違うけれど、看護婦がおり、ケアマネージャーがおり、主治医と専門医がいました。
患者の自宅が、病院に次ぐ第二の病室といえるかもしれません。
在宅も変わってきているのだと思いました。
私たちの父の時代、父が往診かばんをもって、一人で往診に出かけた後姿を覚えていますが、時代は変わり、患者もより正確な専門的な診断を求めていますし、看護婦も自立して動いているようです。
在宅医療を実践し活躍されている方々からすれば、すでに気づかれていることかもしれませんが、いまごろ何を言っているのと怒られそうですが、、在宅という現場で、必要に迫られて、確実に「変化」がおきているような気がします。
今後は、やはり相互の連携をいかにとるかということが、時代の要請のように思 えます。
平成16年7月15日記
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